汗の匂いは誰にとっても嫌なもの。特に、その汗の匂いが甘酸っぱく感じられたら注意が必要です。それはケトン臭かもしれません。
実はこのケトン臭は、別名ダイエット臭とも呼ばれる、身近で起こりやすい匂いなんです。辛いダイエットに嫌な匂いまでついてくると、憂うつになってしまいますよね。
そこで、ケトン臭の匂いの特徴や、発生する仕組み、発生を防ぐ方法、どこから匂うのか?、発生を防ぐ生活習慣についてまとめてみました。
匂いを気にせずダイエットをするための参考になさってください。
ケトン臭の匂いはどんなもの?特徴など
ケトン臭とは、体内で脂肪が分解されるときに作られるケトン体が持つ匂いのことです。
ケトン体に含まれるアセトンという物質が強い匂いを持つため、汗や尿として排出される際に、甘いような匂いが感じられるようになります。
ケトン臭の匂いは甘いと言っても、りんごが腐ったような、ツンと刺激のある嫌な匂いが特徴です。
このケトン体は血液に含まれていますが、通常は数が少ないため匂いがすることはありません。糖質の摂取が制限されると、血液中のケトン体が増えるので匂いが強くなってしまいます。
糖尿病の人は糖をエネルギーに変えることが難しく、ケトン臭がしやすいといわれています。
糖質制限や断食といった食事を制限するダイエットでは、糖が不足しがちになるため、糖尿病の人と同じ匂いがするようになります。そのため、ダイエット臭とも呼ばれています。
ケトン臭が発生する仕組み
ケトン臭は、体内でエネルギーがうまく作れないときに発生します。私たちの体は、食べ物からエネルギーを作っています。そのエネルギー源の主なものは、炭水化物などに含まれる糖質です。
ダイエットなどで糖の摂取がおさえられると、エネルギーが作れなくなってしまいます。このとき脳は「栄養不足だ」と感じて、基礎代謝を落とすことでエネルギーの消費をおさえようとします。
そして、足りないエネルギーを体内の脂肪やタンパク質を分解することで補います。
このとき脂肪そのものをエネルギーにすることはできません。一度、脂肪酸という物質に分解されるのですが、この過程でケトン体が発生します。
脂肪を分解すると痩せるのでは?と思われるかもしれませんが、代謝が落ちると痩せにくくなるんです。
少ないエネルギーで体を動かしていると、当然エネルギーが余るので、それが脂肪として蓄えられることになります。エネルギー消費の効率も悪くなり、結果的に太ることになってしまいます。
また、脂肪の分解は肝臓で行われるので、余計な負担がかかってしまい、肝臓の病気につながるかもしれません。ケトン臭は不快な匂いですが、体からの危険信号でもあるんです。
ケトン臭の発生を防ぐ方法
ケトン臭は食事に気をつけることで防ぐことができます。主に気をつけることは2点あります。
1つめは、糖質の制限をゆるやかにすることです。糖質ダイエットでいきなり糖質をすべてカットすると、ケトン体も一気に増えてしまい、匂いもきつくなりがちです。
少しずつ糖質を減らして体を慣らしていくことで、ケトン体の発生をおさえることができます。
2つめは、アルカリ性の食品を多く摂取することです。ケトン体は酸性の強い成分なので、アルカリ性の食品で匂いを緩和することができます。
大豆製品、牛乳、柑橘類、海藻、きのこなどに多く含まれているので、積極的に食べましょう。低カロリーの食材が多いのもダイエット中には嬉しいですね。
中でも、レモンなどの柑橘類はおすすめの食材です。柑橘類に多く含まれるクエン酸は、脂肪を燃焼させる働きがあるので、ダイエットにもケトン臭予防にも効果的です。
この2点だけ食事に工夫すればケトン臭の匂いを防げるので、ぜひ実戦してみてください。
ケトン臭は特にどこから臭う?
ケトン臭は全身から匂います。なぜなら、ケトン体は血液に含まれるので、汗をかく場所ならどこでも匂うようになってしまいます。
汗だけではなく口臭にもケトン体は含まれるので気をつけましょう。
残念ながら、ケトン臭の匂いそのものを消すことはできません。予防や対策をしても、血中のケトン体が減るまでに時間がかかってしまいます。消臭スプレーなども一時しのぎにしかなりません。
匂いが気になるときは、適度に汗を拭きとったり、シャワーを浴びるといった一般的な汗対策を行いましょう。着ていた衣類もしっかり洗濯するなど、清潔にすることを意識してください。
ケトン臭を防ぐために心がけたい生活習慣
ケトン臭を防ぐためには、正しい食事と運動が欠かせません。糖質制限や断食は、ケトン臭の原因になってしまいます。カロリーの管理を正しく行い、バランスのとれた食事をすることが重要です。
また、運動することで筋肉がつくので、代謝が落ちるのを防ぐことができます。代謝が落ちると痩せにくいだけでなく、肌荒れにもつながってしまい、美容のためにも良くありません。
一度ケトン臭がし始めたら、消えるまでに時間がかかります。体質にもよりますが、3カ月から半年程度と言われています。
ケトン臭だけではなく体のためにも、食事管理と運動で健康的な生活を送ることが大切だと言えます。
まとめ
・ケトン臭は糖質制限や断食などで発生しやすい、甘いような独特の匂いのこと。
・糖の代わりに体内の脂肪を分解するときにできるケトン体が匂いの原因になっている。
・段階的に糖質を減らす、アルカリ性の食品を一緒に摂取することでケトン臭の発生を防げる。
・ケトン臭は血液に含まれるため、汗や尿、口臭として全身から匂う。
・匂いを防ぐためには正しい食事と運動を心がける。
ケトン臭の匂いと特徴、その予防方法についてご説明しました。ダイエットが原因でケトン臭がしているなら、やり方を見直すときなのかもしれません。
運動をしなくても簡単に痩せられるダイエットは、手軽に感じられますが、注意しないと嫌な匂いの原因になってしまいます。
それで痩せられても、肝臓にダメージがあったり、健康を損なってしまっては意味がありません。
匂いはデリケートな問題で、なかなか指摘しにくいものです。エチケットとして、そして匂いを気にせず気持ちよく過ごすためにも、正しいダイエットで健康的に痩せることを心がけましょう。