「不老長寿の果物」として、古くから世界中で食べられているいちじく。腸内環境を整える、高血圧予防になるなど、健康をサポートする働きがある一方で、食べ過ぎると体に悪影響があることはご存知ですか?
実は、いちじくをたくさん食べると、体の中で消化しきれず、下痢や腹痛を起こすと言われています。
この記事では、いちじくの食べ過ぎによる体への影響や1日に食べてもいい量、食べるときに気をつけたいことなどについてお話しします。
「いちじくを食べたいけど、これは食べすぎ?どのくらい食べてもいいの?」というお悩みを一緒に解決しましょう。
目次
いちじくの食べ過ぎによる危険性や体に起こること
いちじくは、食物繊維が豊富なことに加えて、ビタミンやカルシウム、ミネラル、カリウムなど私たちの健康に欠かせない栄養素がバランスよく含まれています。
中には、フィシンというタンパク質の分解・消化を助け、胃もたれを防ぐ働きの栄養素なども含まれ、健康食としても親しまれている果物です。
ただ、いちじくを食べすぎると、これらの栄養成分が効きすぎてしまい、むしろ体に悪影響を及ぼすことがあります。
あるテレビ番組では、いちじくが大好きな女性が、夕食の代わりにいちじくを一度に10個食べたら、下痢になってしまったというエピソードが紹介されました。
しかもその女性は、皮ごと食べていたことが原因で、嘔吐にも苦しみ、その症状は一晩中続いたということです。下痢、嘔吐以外にもいちじくの食べ過ぎによる症状が確認されていますので、注意が必要です。
いちじくを食べ過ぎると具体的にどんな症状が出る?
腹痛
いちじくの食べ過ぎによる代表的な症状は、腹痛です。いちじくには、食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は体内で消化されず、腸内で便をまとめる役割があるので、適量であれば便秘解消の効果がありますが、食べ過ぎると腸内に溜まり、消化不良を起こします。
ちなみに、食物繊維には水に溶けやすい水溶性と、そうではない不溶性の二種類があり、いちじくには両方入っています。
特に不溶性食物繊維は、便のカサ増しをするので、元々便秘がちな人は要注意です。排出しきれない食物繊維でかえって便秘になり、腹痛に繋がります。
下痢
水溶性の食物繊維の働きも要注意です。いちじくには、ペクチンという水溶性の食物繊維が含まれています。
ペクチンは、便を柔らかくし、排便を促す作用があるので、適量であれば便秘解消効果が高いでしょう。しかし、それを過剰に摂取してしまうと、今度は便が水分を含みすぎて下痢になります。
ちなみに、生のいちじくよりも、ドライいちじくの方が栄養が凝縮されており、食物繊維量も10倍と多くなるので、その可能性が高くなるでしょう。
栄養素の吸収阻害
ペクチンは、粘性が強く、腸内で糖質や脂質、その他老廃物を吸着し、吸収を遅らせたり阻害させたりする働きがあります。
その結果、コレステロール値の上昇を抑える効果があるのですが、必要以上に摂ると、ビタミンやミネラルなど体に必要な栄養素も吸着してしまうため、適度な摂取を心がける必要があります。
嘔吐
いちじくに苦みや渋みを感じるは、アクの一種であるベンズアルデヒドという成分が含まれるためです。このベンズアルデヒドは、毒性が強く、摂りすぎると胃痛や嘔吐に繋がります。
主に皮の部分に含まれているので、いちじくを皮ごと食べる場合は茹でたりして火を通すと成分が弱まり、安心です。また、未熟ないちじくにもアクが多く含まれます。
生いちじくは、底の部分に裂け目ができ花(中の赤い部分)が見え始めているものが食べ頃です。スーパーでいちじくを買うときは、底の部分をよく確認しましょう。
舌や口の中がチクチク・イガイガする
いちじくを切ると、中から白いミルク状の液体が出てきます。この液体には、フィシンとよばれるタンパク質を分解する酵素が含まれており、いちじくを害虫から守る役目があります。
フィシンは、胃腸の消化機能を活性化させ、太りにくくする効果がありますが、文字通りタンパク質を分解するので、タンパク質でできている私たちの体は、触れると刺激を感じることがあるのです。
体調が悪いときや、口の中が乾燥しているときは唾液が少なくなるので、刺激に敏感になり、かゆみや火傷のような症状が出ることがあります。症状には個人差がありますが、食べ過ぎは避けた方がいいでしょう。
また、酵素は熱に弱いので、生で食べると違和感がある人は加熱するのがオススメです。もしくは、牛乳やヨーグルトと一緒に摂るとフィシンが乳製品のタンパク質分解に作用するため、刺激が緩和されます。
いちじくの食べ過ぎで太る可能性について
小さくて食べやすく、栄養もたっぷりとなると、ついつい手が伸びてしまういちじくですが、他の食べ物と同じく、いくら食べても太らないというわけではありません。
特にドライいちじくは、乾燥させ、栄養が凝縮された分甘く、高カロリー・高糖質となります。
・生いちじく一個あたり(可食部72g)カロリー:39kcal 糖質:8.9g
・ドライいちじく一粒あたり(7g)カロリー:20kcal 糖質:4.5g
100gあたりで比べると、カロリー・糖質ともにドライいちじくは、生いちじくの5倍以上あります。糖質でいえば、ドライいちじくを5つ食べたら、食パン1枚分に相当する量です。
いちじくは腹持ちが良くないので、無意識に食べるとあっという間にカロリー・糖質オーバーになってしまいますね。
また、空腹時に食べると血糖値が急上昇し、過食を促進させるので、たとえばヨーグルトに小さく刻んで入れるなどして、ゆっくり食べるのがオススメです。
1日に食べてもいいいちじくの量
いくつまでなら食べても体に影響がない、というような明確な決まりは残念ながらありません。なぜなら、体質によってどれだけ影響が出るのか異なるからです。
ただ、間食を1日に200kcalの適量(※3)におさめるとすると、生いちじくなら1日5個まで、ドライいちじくなら、1日10粒まで食べても良い計算になります。
それを目安に、ご自身で少量から食べてみるのがいいでしょう。また、妊婦さんはホルモンバランスが崩れやすく、普段より免疫力が下がっているので、食べ過ぎによる症状が出やすいと考えられます。
いちじくには、健康な赤ちゃんを育てるのに大切な葉酸が含まれているので、注目している妊婦さんも多いと思いますが、食べすぎるとカロリー・糖質の摂りすぎによる体重増加にも繋がるので、注意が必要です。
いちじくを食べるときに気をつけること
買ってきたらすぐに食べる
いちじくは傷みやすく、日持ちしません。いちじくが旬の夏から秋は、常温保存するとあっという間に腐敗してしまいます。
買ってきた日に食べない場合は、乾燥予防でビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に保管しましょう。3〜4日は持ちます。
便秘対策ならドライいちじくを食べる
ドライいちじくは、生のいちじくに比べ、食物繊維が10倍多く含まれます。便秘対策として食べるなら、ドライいちじくの方が効果的です。
糖質やカロリーが気になるなら生で食べる
生のいちじくは、他のフルーツに比べ、カロリー・糖質ともに比較的低めです。ダイエット中の方は、生のいちじくを選んだ方が太りにくいでしょう。
まとめ
- いちじくを食べ過ぎると、栄養成分を体の中で消化しきれず、腹痛、下痢、嘔吐など体調を崩すことがあるので注意する。
- ドライいちじくは栄養が凝縮されているので、高カロリー・高糖質。たくさん食べると太るので食べる量に気をつける。
- 1日にいちじくを食べていい量は、明確に決まっていない。体質によって見極めが必要。
- いちじくは日持ちしないので、買ってきたらすぐに食べるか、冷蔵保存する。
いちじくは適度な量であれば、栄養を豊富に摂れるとても魅力的なフルーツです。食べる目的に合わせて、生かドライかを選び、適量を楽しみましょう。