土鍋にひびが入った時の対処法と、長く使うために出来ること

冬の鍋料理、土鍋ご飯、保温効果を生かした煮込み料理…。土鍋は活躍の場も多く、価格帯もサイズも様々。そんな一家に一台ある土鍋ですが、意外と正しいお手入れの仕方や使用法は知られていません。

いつの間にかひびがたくさん入っていた!水漏れしてる…!本体に重量のある土鍋、安全に長く使いたいですよね。この記事では土鍋にひびが入った時の対処法と、使用上の注意点をご紹介します。

気が付くと土鍋にひびが!使い続けて大丈夫?

土鍋は名前の通り、土製の鍋です。粗土をこねて成形し、釉薬をかけ、かまどで焼いて作られます。最近は燃料の節約のため、低温で焼くことも多いようです。

陶器の強度は細かい粘土で高温で焼成するほど増します。土鍋は目の粗い土を使うことで熱伝導が穏やかになり、それが調理で効果を発揮する一方、もろいという欠点があります。

なので、もともとあった小さな傷や、使っているうちに入った細かい傷が、次第に目に見える大きさになり、驚く、ということはごく自然のこと。程度にもよりますが、ひびが入ったから使えない、と判断してしまうのは尚早です。

土鍋にひびが入るのは当然。コーティングが長持ちの秘訣!

ここで土鍋をコーティングし、丈夫にする方法をご紹介します。メーカーや商品に寄っては、使用する前に行う必要があるようです。少し面倒に思えますが、いくつか方法があるので、自分にとってやりやすいものを試してみてくださいね。

「目止め」とは? 方法と効果

土鍋をコーティングすることを「目止め」と言います。基本の目止めの方法は、ご飯やお粥を炊くことで出来ます。お米に含まれる澱粉質が、鍋のひびの間に入り込み、土鍋をコーティングしてくれるのです。

未使用の土鍋で炊いたご飯やお粥を食べることに抵抗があり、もったいないと感じるのであれば、お米のとぎ汁や、小麦粉・片栗粉を溶かした水を煮る、という方法もあります。

牛乳を煮ても同様の効果が得られますが、それは牛乳に含まれる「カゼイン」というたんぱく質に粘着力があり、ひびを塞ぐからです。いずれも鍋の8分目まで注ぎ、必ず弱火で10分から20分沸騰させ、火から下ろした後は冷めるまで待つ必要があります。

目止めを最初に行えば、ひび割れだけでなく、におい移りなども防ぐことが出来ます。土鍋を購入した際は、まず忘れずに行いたいですね。

鍋にひびが入る原因

「目止め」は、使っているうちにひびが入り、強度の落ちてきた土鍋に行えば補強になります。土鍋にひびが入る原因は大きく分けて3種類です。

①   衝撃

落とすなどの大きな衝撃でなくても、見えないひびが入ることがあります。土鍋は底が分厚いので、奥の方に入り最初は気づかず、次第に大きくなり表面化し、見えるようになります。このようなひびこそ目止めが効果的です。

②   温度変化

土鍋は「熱しにくく冷めにくい」ので、急激な温度変化は鍋に負担がかかります。鍋の内側と外側で温度差が生まれ、ひびが入ることがあります。なので、空焚きも避けた方が良いでしょう。

冷えたものを入れた土鍋を火にかけると、鍋の側面が結露することがあり、その水滴が熱せられた部分に垂れることでもひびが入ります。

鍋の外側だけひび割れし、内側まで伝っていないものであれば特に注意する必要はありませんが、土鍋を煮炊きする場合は外側についた水分を良く拭き取り、乾燥させてから火にかけましょう。

③   焦げ付きやカビ

土鍋で調理したものは、出来上がったら別の容器に移すことが理想的です。醤油や味噌、だし、みりんや酒などの調味料が細かい傷に入り込み、それが焦げることで黒ずみや目に見えるひびにつながります。

焦げを落とす際に余計な力が入り、亀裂が入ることもあります。また、染み込んだ調味料などを栄養にしてカビが発生することも、ひびの原因になり得ます。

土鍋を長く使うための注意点

目止めという対処法はありますが、土鍋を長く使うためには、上記のようなひびの原因に注意を払う必要があります。衝撃で欠けた場合は、やすりなどで削り、その部分を滑らかにすることで対処できます。

土鍋をひび欠ける場合は、表面の水分をよく拭き取り、強火を避け、じっくりと温度を上げていくことを心がけましょう。黒ずみは、焦げの場合は木のスプーンなどで優しくこそげ落とし、カビなどの場合はお茶やお酢で殺菌しながらこすり落とします。

お茶に含まれるタンニンでも黒ずむことがあるので、匂いが気にならないようであればお酢がおすすめです。また、新聞紙で包むと、カビを防ぎ、土鍋に良い湿度で保管することが出来ます。

買い替え時の見極め~土鍋の「破損」と「ひび」の違い

ここまで土鍋を長く使うための方法をお伝えしてきましたが、残念ながら土鍋にも寿命があります。熱く水分量の多いものを調理することの多い土鍋、正しく買い替え時を見極め、安全に土鍋ライフを楽しみましょう。

「破損」の場合

表と裏で同じ場所にひびが入っている、複数のひびが繋がっている場合は、そのひびに力を入れてみましょう。ひびに力が伝わった感触があり、ひびが広がったり、少し浮いてくるようであれば、買い替え時です。

また、水を溜めてじんわり染み出してきた時も危険です。染み出た水分で悪化する可能性があるので、すぐに目止めを行い、状況が変わらないのであれば買い替えた方が安全でしょう。

「ひび」の場合

ひびや亀裂が見られても、力を加えた時にびくともせず、水漏れもないようであれば、問題なく使用することが出来ます。目止めを繰り返し行うことでコーティングされ、強化されますので、心配であれば少し目止めを行う頻度を上げてみて下さい。

まとめ

・ひびに気づいた時、購入した時はまず「目止め」をする

・ひびが鍋のふちまで来ている、繋がっている場合は要注意

・水漏れは危険信号!

・温度変化や保管方法に気を付ける

基本的には、ひびがあっても「目止め」をすることで、簡単に自分で修復することが出来ます。ただし、そのひびがどの程度なのか、どのようなものなのかは見極めが必要です。

少しの手入れで長く愛用出来るところも、土鍋の魅力です。愛着を持って、安全に美味しく、土鍋料理を楽しみましょう。