引っ越しする際や大掃除の際、また、遺品整理の際などに小さな箱を見つけて、へその緒の存在を思い出した、そんな経験ありませんか?
また、そこで初めて見たという人もいるのではないでしょうか。
いざ見つけると、大事なものだとは思うけど要るものではないし、いつまで保管しておけばいいかもわからないし、処分してもいいなら処分してしまいたいと思うかもしれませんね。
へその緒を処分するべきかどうかは、本人の気持ち次第です。
この記事では、へその緒を保管する風習がどのようなものなのかをお伝えすることで、たまたま見つけて困ったへその緒を、処分するべきか、またどのように対処すればいいのかを明らかにしていきます。
目次
へその緒は処分をしても大丈夫?
へその緒は、出産した本人やその子がこだわらないのであれば、処分しても大丈夫です。なぜなら、へその緒を保管するという風習は日本独自のものだから。
日本では昔から出産した際に、産院からへその緒を入れる桐の箱を渡されるのが当たり前でした。
しかし近年では日本でも、へその緒を入れるための箱を渡していない産院も増えてきているようです。
この風習はほぼ日本だけで、一部では土に埋めるのが一般的な国もあるようですが、それ以外のほとんどの国では、へその緒は出産する本人が希望しない限り、処分されることが多いのです。
なので、へその緒を処分するかどうかは、出産した本人もしくは産まれた子供次第と言えます。
へその緒は保管するまでならいつまで?
へその緒は処分しても大丈夫。とは言えやはり、赤ちゃんがお腹の中にいるあいだ、母と子をつないでいた大切な絆。処分せずに保管しておきたいと思う人もいますよね。
私の両親は物をすぐに処分してしまうタイプで、一度引っ越した際には、ひな人形や思い出のアルバムも処分してしまいましたが、へその緒だけは大事に保管しています。
へその緒を保管しておく場合は、産まれた子本人が亡くなるまで、もしくは出産した本人が亡くなるまでがいいでしょう。そして火葬の際、棺にへその緒も一緒に入れてもらいましょう。
日本が古くからへその緒を保管してきたのには理由があります。
臍帯血が含まれるへその緒は、子供が大きな病にかかった際、それを煎じて飲ませると治ると言い伝えられ、昔は実際そのように使っていたようです。そのため、その子本人が亡くなると役目を終えると考えられます。
また、出産した本人が亡くなった際に、そのへその緒を持ってあの世へ行くと、出産という大業を成し遂げたと閻魔様が認めてくれ、天国へ行かせてくれるのだそうです。
大事に保管しておきたい気持ちもわかりますよね。もし保管しておくと決めた場合は、しっかり乾燥させて、湿気に強い桐の箱に入れて大事に保管しておきましょう。
そして次の世代を困らせないために、自分と母がつながっていたへその緒は、責任をもって自分の代で処分することをお勧めします。
へその緒の正しい処分の方法
出産した本人もしくはその子が亡くなり火葬される際、棺に一緒に入れてもらうのが一番きれいな処分のかたちだと言えますが、中には忘れられるかもしれない、頼めない、と思う人も多いのではないでしょうか。
そこで、亡くなるまで保管しない場合の、正しい処分の仕方を3つご紹介します。
燃えるゴミに出す
言ってしまえば、ただの乾いた体の組織。燃えるゴミとして処分しても問題はありません。
しかし「そうは言われても何だか気が引けるなぁ…」と思う人が多いのではないでしょうか。
お焚き上げをしてもらう
そんな場合は、神社やお寺へ“へその緒のお焚き上げをしてもらえるか”確認し、受け入れてもらえるようならお願いしましょう。
また、遺品や人形など、処分に困る物の供養やお焚き上げを専門に行っている業者もあるので、調べて相談してみましょう。
庭に埋める
お家に庭がある人は、庭へ埋めて土に還すという選択肢があります。
へその緒の正しい処分するときの注意点
へその緒の処分に困り、神社やお寺でお焚き上げしてもらう場合、事前の確認を忘れないよう注意してください。かならずしも、へその緒をお焚き上げしてもらえるとは限りません。
なぜなら、お焚き上げを受け入れてもらえる品物は、それぞれの神社やお寺により異なるから。
本人としてはとても思い入れのある物で、供養してもらえるところで処分したいと思うのは当然のことす。
しかし本来お焚き上げとは、神社やお寺で授与されたお守りやお札、しめ縄などのお正月飾りを、感謝や祈願のために焚き上げてもらうことが目的です。
以前、とある神社が「神社は廃棄物処理場ではありません」という切実なコメントをホームページに掲載し、ニュースで取り上げられ話題になっていました。その持ち込まれて困った品物の中に“へその緒”も挙げられています。
供養やお焚き上げを専門に行っている業者では、神社やお寺で受け入れ不可だった品物も受け入れてもらえることが多いので、そちらにお願いしてみてください。
また、業者にお願いするほどでは…と思う場合は、へその緒を白い紙や布に包み、その上から塩を振ってお清めし、燃えるゴミとして処分するといいそうですよ。
まとめ
へその緒は、持ち主本人がこだわらなければ処分しても大丈夫です。
それでもやはり保管しておきたいという場合は、出産した本人もしくはその子が亡くなるまでがいいでしょう。その場合は、火葬の際に棺へ一緒に入れてもらうよう、周りの近親者にお願いしておく必要がありますね。
保管せずに処分する場合は、「燃えるゴミとして処分する」「お焚き上げしてもらう」「庭に埋めて土に還す」の3択。
その中で「お焚き上げをしてもらう」場合は、神社やお寺にへその緒の受け入れが可能か必ず確認しましょう。勝手に持ち込んでしまうことはしないでくださいね。
日本独自の風習ですが、母と子の絆という素敵な考え方や、不思議な効果のある物としても言い伝えられてきた、へその緒。
時代も変化し、そのとらえ方は人それぞれですが、たまたま見つけた際に家族で話し合ってみるといいかもしれませんね。