最近ではコンビニエンスストアでも肉や魚などを使用していない商品が販売され、その認知度が徐々に広まりつつあるベジタリアン。しかし、まだまだその実態を知らない方も多いのではないのでしょうか。
そんな中、ある一つの噂を耳にしました。それは「ベジタリアンは怒りっぽい」というもの。食生活を変えて怒りっぽくなり、人格が変わったかのように思われるのってちょっと嫌ですよね。
そこで、ベジタリアンとして食生活を変えると本当に怒りっぽくなるのか、またなぜ怒りっぽくなってしまうのかを解説します。
この記事を読むとベジタリアンと共によく耳にするヴィーガンのことや、ベジタリアンが怒りっぽいといわれる由縁、また、ベジタリアン生活をしていく上で気を付けることなどがわかります。
目次
ベジタリアンとヴィーガンの違いって?
ベジタリアンについて調べてみるとまず直面するのが、その種類の多さ。実はベジタリアンと一言で言ってもその中身は多種に分かれています。
そもそもベジタリアンとは肉や魚を食べない人を指す言葉ではなく、その食事方法を意味する言葉でした!肉や魚を食べない、という主旨は変わらないものの、そこから派生した様々な食事法が存在していました。ここではその一部をご紹介したいと思います。
- ヴィーガン・・・完全菜食主義者。乳製品・卵・はちみつなども摂取しない。主に思想から実施している方が多い。
- フルータリアン・・・果実常習者。収穫してもその命にかかわらない実やナッツ類を食べる方を指す。
- ラクト・オボベジタリアン・・・乳製品・卵は摂取するが、肉・魚を口にしない食事法。一般的に「ベジタリアン」と呼ばれる方の多くはここに属する。
- セミベジタリアン・・・植物性食品をベースとして食事をするが、場合によっては肉や魚などを食する柔軟性のある食事法。
その他、乳製品は食べるが卵を食べない方や、その逆の方などもあり、おおよそ9種類程度にベジタリアンの方を分けられるそうです。なかなか奥が深いですね。
では、ここからはベジタリアンの方が怒りっぽいといわれる理由を見ていきましょう。
ベジタリアンが怒りっぽいといわれる理由・根拠
ベジタリアンの方が怒りっぽいといわれる理由、それはベジタリアンの方が不足しがちな栄養素が関係しているのかもしれません。
もちろん、怒りっぽいということは個人の性格に依るものが大きいと思いますので、ここではその一つの原因として考えられる理由を挙げたいと思います。
①タンパク質の不足
ベジタリアンの方が不足しがちな栄養素の一つとしてあげられるのが「タンパク質」
タンパク質は主に筋肉や臓器、肌、髪の毛を作る働きがあります。また、ビタミンCによるホルモンの合成にかかせない成分です。ビタミンCはイライラや不安を抑えることが出来ます。
つまり、タンパク質が体内から不足すると、このビタミンCを正常に働かせることが出来なくなり、イライラを促進させてしまう可能性があります。タンパク質の不足が怒りっぽくなる原因というのは意外でしたね。
②カルシウムの不足
タンパク質同様に、ベジタリアンの方が不足しがちな栄養素として挙げられているのが「カルシウム」
カルシウムが足らなくなると神経興奮の抑制がうまく機能しなくなり、イライラしやすくなってしまう可能性が生じます。カルシウム不足になると怒りっぽくなるといわれる由縁はこういったカルシウムの働きから言われているんですね。
ベジタリアンが感情を安定させるには?
ベジタリアンの方は必要な栄養素が足りなくなり、怒りっぽくなっている可能性がある、ということが分かりました。では、どうすれば感情を安定させることが出来るのでしょうか。
その方法は簡単!必要な栄養素をきちんと摂取することです。先に挙げた不足しがちな栄養素はベジタリアンだからと言って摂取できない栄養素ではありません。
タンパク質であれば、豆類に豊富に含まれておりますし、カルシウムであれば、わかめやひじきといった海藻類から摂取することが出来ます。これから一部ではありますが、不足しやすい栄養素とそれを補うための食材を挙げていきます。
不足しがちな栄養素 | 多く含む食材 |
タンパク質 | 大豆、レンズ豆、インゲン豆、枝豆 など |
カルシウム | わかめ、ひじき、豆乳、豆腐、アーモンド など |
鉄分 | ひよこ豆、豆腐、小松菜 など |
亜鉛 | アーモンド、豆腐、きなこ など |
どうでしょう?意外と身近な野菜で摂取することが出来ますね。ただし、効果が出るまでに多量に摂取しなくてはいけない場合もあります。
今はベジタリアン向けのサプリメントなども発売されているので、不足しがちな栄養素が補えるよう、上手に取れ入れていきたいですね。
ベジタリアンは精神疾患になりやすい?
ベジタリアン生活をしているとうつ病などの精神疾患になりやすい、という噂を聞いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それは怒りっぽい理由として考えらえる、意識して摂取しないとベジタリアンの方が不足しがちな栄養素が関係していると考えられます。
もちろん、うつ病の原因は生活習慣や、環境などが大きく影響しているので、ベジタリアンであるから、という理由が全てではありませんが、原因の一つとして読んでください。
先述した通り、ベジタリアンの食事では不足しやすい栄養素があり、その一つにタンパク質があります。タンパク質は腸内で摂取されるときにアミノ酸へ姿を変え、そのアミノ酸がリラックス物質のセロトニンの材料となります。
このセロトニンが不足することと、うつ病が発症することの関係性が強いといわれているため、ベジタリアンの方がうつ病を発生させやすいという誤解が生じてしまっているのだと考えられます。
最初に述べた通り、食事だけでうつ病が発症することはありません。あくまで不足するとうつ病の発症と関係性の高い体内物質が、ベジタリアンの方の食事だと不足しやすいということです。
ですが、不足した栄養素がある、ということはやはり健康上よくないので、ベジタリアンの方も不足する栄養素がないよう、食事の献立を考えたほうがいいですね。
ベジタリアン生活をするうえで気を付けること
いろいろ調べてきましたが、菜食中心の食事だからといって、手に入れやすい葉野菜や根菜のみで生活していると栄養素が偏り、逆に身体に悪影響が出てきてしまうことが分かりましたね。
各野菜の栄養素を調べて、栄養に偏りが出ないようにしたり、また最近ではベジタリアン向けのプロテインやサプリメントなどが発売されているので、上手に食生活に取り入れてバランスの取れた食事を心がけましょう。
正しく行えば、動物愛護の面だけでなく、内臓脂肪が減少したり、心臓病やがんの発生リスクが少なくなるなど自身の体にもいい影響があるベジタリアン。
しかし、不足する栄養素を補えないと自身の体だけでなく心にも悪影響が出てしまう可能性があります。食事バランスに気を付けて、健康的にベジタリアン生活を送ってみるのもいいですね。