スーパーの鮮魚コーナー片隅に売られている生ひじき、安いから買ってみたもののどう調理していけばいいんだろう…。一回はひじきのパックを手に取り悩んだことありませんか?
生ひじきは乾燥ひじきを水戻しする時間がないとき、とても便利なものです。しかしついついそのまま使ってしまう生ひじき、ひと手間かけることで安心して食べることができるようになります。
この記事では、生ひじきの下処理の方法、保存方法、おすすめの食べ方、食べるときの注意点についてご紹介します。家庭でもおいしく安全なひじき料理を作りましょう。
目次
生ひじきは下処理が必要?
ひじきはどんな食べ物?
ひじきは海の野菜と言われ、岩礁で取れることから古代より健康食、長寿食として親しまれてきました。パックに入っているのは1~2cmの小さな海藻ですが、海から取れた時は1mほどの長い海藻です。
私たちがスーパーで目にするひじきはどのような工程を経て、手元に届くのでしょうか。ひじきは以下の5工程を通り、乾燥ひじきとしてスーパーに並びます。
(1)春から初夏にかけて収穫
(2)産地にて天日干し
(3)水戻し、水洗い、塩抜きをする
(4)蒸し上げ
(5)乾燥、異物除去後パッキング
スーパーで売られている生ひじきは、このように作られた乾物を水で戻したものです。
ひじきに含まれる成分
一般的に海藻は「低カロリーで食物繊維が多く、ビタミンやミネラルが豊富」と言われています。
中でもひじきはカルシウム、鉄を多く含んでいることで有名です。また、それ以外にもカリウム、マグネシウム、亜鉛なども含まれています。
一方、無機ヒ素含有量も他の海藻の3倍と多く含んでいます。そのため、英国食品規格庁から食べないように、と注意喚起がされたことがあります。
でも日本では、ひじきの食べすぎによる健康被害を耳にすることはほとんどありません。それは調理法に秘密がありました。
無機ヒ素は水に溶けやすい性質を持つので、水で洗ったり、ゆでこぼしたりすることで減らすことが可能です。
調理のときに普通に行っている下処理が無機ヒ素の量を減らすことに大きな成果を上げていたのです。
平成26年度には、農林水産省の調査の中で、乾燥ひじきの調理法による無機ヒ素の比較をしたところ、水戻しでは5割、ゆで戻しでは8割、戻した後にゆでるゆでこぼしでは9割、無機ヒ素が減っていることが確認されています。
しかしながらその他に含まれる栄養素は7割ほど残ることも報告されています。
一般的にスーパーで販売されている生ひじきは、乾燥ひじきをもう一度水戻ししたものなので、無機ヒ素の量は5割まで減っていると考えてよさそうです。
しかしもっと安心しておいしくひじきを食べるために、ゆでこぼしすることをお勧めします。
生ひじきの下処理の方法
無機ヒ素を減らす下処理の方法は以下の通りです。これなら他の料理を作る片手間でパパっとできそうです。
(1)水洗いをする
まずは水洗いをし、汚れを落とします。ボウルの上にざるを重ねて洗うと水を切るとき便利です。
(2)ゆでこぼし
たっぷりのお湯に生ひじきを入れ強火で加熱します。沸騰したら弱火で5分間ゆで、その後流水で20秒洗浄します。
熱いなべやゆだったひじきを取り扱うので、やけどしないように気をつけてくださいね。
生ひじき下処理後の保存方法は?
ひじきといえば、手軽、時短の代名詞です。せっかくなのでまとめてやって保存しておきたいですよね。ひじきの保存は冷凍がおすすめです。保存の手順は以下の通りです。
(1)生ひじきの下処理をします。
(2)火を通したひじきが冷めてから、1回で使い切れる量に分けて冷凍庫へいれます。入れる容器は、フリーザーバッグや小さ目のタッパーのような密閉容器がおすすめです。
冷凍した後、概ね1ヶ月半~2ヶ月程度保存が可能です。冷凍中も傷んでしまうことがあるので、食べる前に変な見た目になっていないか、においは大丈夫か確認してください。
生ひじき おすすめの食べ方4選
ひじきは低カロリーでヘルシーですが、定番おかずから主食、こどものおやつ、おつまみまで守備範囲が広いです。私が作っておいしいと思った、おすすめの食べ方を紹介します。
定番の煮物、アレンジもOK
にんじんと油揚げが入った、オーソドックスなひじきの煮物です。材料をごま油でサッと炒め、調味料(砂糖、みりん、酒、醤油、だし汁)を入れて煮汁がほとんどなくなるまで煮るだけです。
調味料合わせをする時間がなければ、めんつゆを使ってもおいしく出来上がります。
具は好みによって油揚げをさつま揚げに変更したり、枝豆、大豆、レンコンや切り干し大根を追加して好みの組み合わせを見つけてみてください。
余ってしまった煮物は、次の日に混ぜご飯にするとおいしいですよ。
ひじきサラダ
ひじきと枝豆を醤油マヨネーズで和えるだけの簡単な1品です。マヨネーズ1に対して醤油3分の2で混ぜてください。
お好みでコーンやにんじんの千切り、ブロッコリー、ちくわ等を入れてボリュームのあるおかずにすることもできます。
ひじきの炊込みご飯
いつもの炊き込みご飯にひじきを追加すると、ミネラルや食物繊維たっぷりの1品になります。
にんじんの千切り、鶏肉とひじきを一緒にお米の上に入れ、醤油、酒、みりん、塩を加えてお米を炊きます。炊き上がったら全体を混ぜ完成です。
ひじきとしらすのおやき
水切りをした豆腐とひじき、しらす、つなぎの片栗粉(大さじ1)を混ぜ、塩で味を調えます。
フライパンに食べやすい大きさのおせんべい状に丸め、強めの弱火で両面こんがり焦げ目がつくまで焼きます。
魚を食べたがらない子供たちのおやつにもぴったりの一品です。調味料を塩から醤油・砂糖ベースに変更すると大人のおつまみにも使えます。豆腐の水切りをしっかりすることがポイントです。
生ヒジキを食べるときの注意点
生ヒジキは基本的に加工済みの食品なので、安心して食べることができます。下処理を行うことでさらに安全な食品に生まれ変わることができます。
ただし、今まで話してきたのはメーカーでしっかり加工してきたひじき達のことです。お父さんの趣味が磯釣りで、ひじきを海藻のまま持って帰ってきた、とかありませんか?
海藻には解析不明なものも含め、多種の酵素が含まれており、その中には人体に悪影響を与えるものも存在するようです。
酵素はゆでることによって不活性化し影響がなくなるので、とれたての生ひじきを食べるときはよく洗って必ず下処理を行ってください。
漁業権を設定している場所では勝手に持って帰ってくると罰せられることもありますので、持ち帰りには気を付けてください。
まとめ
・ひじきはスーパーで並んでいるときには加工済み
・食物繊維やミネラルたっぷりだが、有毒物質も含まれている
・下処理で有毒物質を9割除去可能。洗った後にしっかり茹でるだけ
・冷凍すれば1~2ヶ月は保存可能
・副菜から主食、おやつまで担当できる万能食品
ひじきは健康食として親しまれてきたとおり、基本的によい成分を多く含む食品です。通常の量であれば問題なく食べ続けることができます。下処理を忘れずに色々な料理に活用してください。