エスニック料理には欠かせない香味野菜、パクチー。
どっぷりハマる人がいる一方で、「苦手」「二度と食べたくない」という人も多くいます。苦手とはいっても、個性的な風味のパクチーは何だか気になる野菜ですよね。
今回は「パクチーの匂いは無理だけど、パクチーについて知りたい」という方に向けて、パクチーが苦手な人が多い理由から、克服方法まで一挙にご紹介。この記事を読むことで、パクチーに関する疑問がすっきり解決できますよ!
目次
パクチーが苦手な人が多い理由
ブームでパクチーが普及した一方、苦手という声も多くあります。
実は、日本全国を対象として2020年7月に行われたLINEリサーチの結果によれば、パクチーが「好き」と答えた人は2割、対して「嫌い」と答えた人は4割弱。
日本では嫌いな人の方が多いようですね。
世界でも、2月24日は「パクチー嫌い記念日」。ネット上でパクチーへの憎しみをぶつけるイベントが存在しており、パクチーが嫌いなのは日本人だけではないようです。
どうしてパクチーが嫌いな人が多いのでしょうか?
理由1:遺伝子によるもの
アメリカで行われた、5万人を対象とした研究データでは「人類の15%は遺伝子的にパクチーを受け付けない」という結果が出ているとのこと。
15%の人々は、風味を司る遺伝子のひとつ「OR6A2」に変異を持っています。この変異遺伝子を持っていると、パクチーに含まれるアルデヒドに脳が過剰反応を起こし、「これは食べられないものだ」と認識するというメカニズム。
アルデヒドは実際に、石けんやシャネルNO.5などの香水にも使用されている、合成香料の成分です。パクチーの風味が石けんや洗剤のように感じる人は、遺伝子のせいなので無理して食べなくて大丈夫。
理由2:カメムシの出す匂いと似ている
独特の風味がカメムシを連想するので苦手、という人もいます。
パクチーは和名で「カメムシソウ」。地中海地方由来の呼び名である「コリアンダー」も、ギリシャ語の「コリス(南京虫)」から来ていると言われ、昔から多くの人がカメムシ臭を連想していたことが伺い知れます。
実はパクチーとカメムシの匂いの主成分は、どちらも「トランス-2-ヘキセナール」という全く同じもの。
実際にタイのラオスではカメムシと香辛料を潰して混ぜた「チェオ」という調味料を使いますし、メキシコでは生のカメムシをスパイス代わりに用います。
パクチーにせよカメムシにせよ、この匂いを料理に生かそうという発想は世界中にあるようですね。
理由3:単純に食べ慣れていない
そもそも和食とパクチーの強烈な風味は、相容れません。そのため日本では日常的に触れる機会もほとんどなく、最初に食べた時に拒絶してしまうということはよくあります。
パクチーの場合は特に、青々とした爽やかな見た目をしているため、淡い味のつもりで食べてトラウマになるなどといったパターンも。
パクチーが苦手な人の意見
パクチーが苦手な人は、実際どのように感じているのでしょうか?
ネットや筆者の身近で上がっている、パクチーが苦手な人の声を集めました。
- ほかの香味野菜、薬味は好きなのにパクチーだけは無理
- パクチーが入っていると強烈な匂いで料理の味が何も分からなくなる
- 食べられないことはないが、できれば食べたくない
- 石けんの匂い
- カメムシの匂い
- ビニールの匂い
- パクチーが好きな人は、苦手な人に無理に食べさせようとせずそっとしておいて欲しい
- 料理にパクチーがのせてあったら必ず避けて食べる
- タイで料理を頼んだら、ネギとパクチーが一緒に細かく刻んで振りかけてあって絶望した
どうしてもパクチー好きがフォーカスされがちな世の中で、こんなにも同志(?)がいると思うとちょっと安心しますね。
苦手な人の中でも苦手の度合いが違ったり、風味の感じ方が違ったりするようです。味覚・嗅覚って奥深い。
どんな料理にパクチーが使われている?
ここではパクチーが使われることの多い、代表的な料理をご紹介。パクチー料理を知り、お店で料理を注文して運ばれてきたときにうっかり遭遇…という事故を減らしましょう。
もちろんここで料理を見て「パクチーは苦手だけど料理は食べてみたいかも」という気分になるのもアリですよ!
1:フォー
さっぱりした味わいが日本でも人気のベトナム料理。
米粉で作った平たい麺と、スープに具材をのせていただきます。
スープは牛骨スープと鶏ガラスープの2種類。具材は牛肉or鶏肉にネギ、パクチー、唐辛子やライムなどをお好みで。
2:トムヤムクン
世界三大スープのひとつ、トムヤムクンはタイ料理。
エビをのせるのが代表的ですが、鶏やイカ、豚などのバリエーションもあります。
酸味のある甘辛いスープは、パクチーやレモングラス、こぶみかんの葉などエスニック系のハーブやスパイスから作ります。
3:香菜丸子(シャンツァイワンズ)
中国語でパクチーは「香菜」(シャンツァイ)。中国の四川ではパクチーを料理全般に使います。特に鍋料理では、パクチーを刻んで入れた肉団子が人気。四川に行くパクチー嫌いの方は気をつけましょう!
ちなみに、国内と現地ではパクチーが使用される料理が微妙に異なるので注意。
例えばタコス。日本ではパクチーのイメージはありませんが、本場メキシコではパクチーを入れて食べます。
すごく苦手な方は、事前にチェックしてみるといいですね。
パクチーが苦手な人のための克服方法
いくらパクチーが苦手でもエスニック料理は好きだし、せっかくなら美味しく食べてみたい!と思うのも人情。
そんな方のために、具体的な克服方法を調べました。吐き気がするほどパクチーが苦手な筆者も実際に試して、「これなら食べられる!」と感じたものもあるので、ぜひチェックしてください。
克服する方法1:火を通すor乾燥させる
生だと匂いをごまかす要素が一切ないので、苦手な人はやめたほうが無難です。
まずは調理法を工夫して、「パクチーを美味しく食べられた」という成功体験を積みましょう。
具体的には、
- 焼く・揚げる・炒めるなど火を通す
- 乾燥させてパセリのように料理に振りかけて食べる
この2つの方法をとったレシピを試しましょう。いずれも生よりグッと食べやすくなる方法です。
オススメは、パクチーの天ぷら!筆者も実食済みです。
ポイントは「付ける衣は多め」・「カリッと茶色い焦げ目をつけること」の2つ。そうすると風味がまろやかになり、苦手な人でも抵抗なく食べられます。
冷めてから食べると匂いが強くなってしまうので、できれば揚げたてをすぐ食べましょう。
本格的に油で揚げるとなると手間がかかりますが、手軽にできる「揚げない天ぷら」でも同様に美味しく食べられますよ!
克服する方法2:本場の料理を食べてみる
実は日本と本場のパクチーでは味が違うので、人によっては「現地のパクチーの方が食べやすい」と感じる可能性が。なぜならパクチーの品種は300種以上あり、使用されている種類は場所によってさまざまだから。
また本場だからこそ、パクチーの風味を上手に活かした美味しい料理店もたくさんあるでしょう。
旅行の際は試しに食べてみると、発見がありそうですね。
克服する方法3:時間を置いて食べる
味覚や嗅覚の好みは時とともに変化しています。時間を置いたら食べられた、というパターンもあるので、たまには食わず嫌いせずに挑戦してみるのも一興かと。
実際、初めてパクチーを食べた時のショックが一番大きいもの。2度目・3度目はどんな風味か知っているので、自然と受け入れやすくなることもあるかもしれませんね。
克服する方法4:慣れるまで食べ続ける
実際に「すごく嫌だったのに、仕方なく食べ続けたらいつのまにか平気になった」という、タイやベトナム在住の人がいます。結局、時間と慣れで食べられるようになるわけですね。
最近は国内のスーパーでもパクチーを簡単に手に入れられるので、どうしても克服したい場合は買ってきて食べ続けるのもあり。ただ、パクチーには消化促進効果があり、人によってお腹がゆるくなるので食べ過ぎないよう注意してください。
以上、4つの克服方法でした。とは言うものの、苦手なものを無理に克服する必要はありません。楽しめる範囲で、ゆるく試してみてください。
まとめ
- パクチーが苦手な人が多いのは主に遺伝的な理由や、カメムシと同じ匂いがするから。
- パクチーは主にベトナム料理、タイ料理、中華料理(特に四川)で使われる。日本でイメージがなくても、現地ではパクチーを食べる場合があるので注意。
- 克服方法は「火を通す・乾燥させる」「現地で食べる」「時間を置いてもう一度食べる」「慣れるまで食べ続ける」の4つ。
たかがパクチー、されどパクチー。好きでも嫌いでも、私たちにとって妙に存在感のある食べ物であることは確かです。徹底的に避けるもよし、食べてみるもよし。克服したいと思ったら、ぜひここで紹介した方法を試してみてくださいね。